先天および後天の色覚異常に関する検査と診療および臨床研究を行っています。検査ではスタンダードな仮性同色表(石原色覚検査表II、標準色覚検査表)や色相配列検査(Panel D-15)に加え、確定診断が可能なアノマロスコープ検査(一部の施設のみ)までを実施することができ、診療では色覚についての専門知識を持った医師による検査結果の説明、日常の生活や職業上の注意点などの解説や指導をしています。また、必要に応じて学校や職場への診断書作成も行います。
表1 先天色覚異常の分類
L錐体 | M錐体 | |
機能がない | 1型2色覚(旧:第1色盲) | 2型2色覚(旧:第2色盲) |
機能が通常と異なる | 1型3色覚(旧:第1色弱) | 2型3色覚(旧:第2色弱) |
視機能・色覚グループでは、視機能に関する研究と色覚の専門外来を担当しています。
私たちは以前から、色視野検査の開発と検査の有効性の検証を行ってきました。今回あらためて、佐藤裕之医師(佐藤裕也眼科医院・宮城県仙台市)が東北大学医学部眼科学教室において、色視野検査を用いた正常眼および緑内障眼、前視野緑内障眼(PPG:Preperimetric Glaucoma)のデータの取得・解析を行い、学会発表及び学位論文執筆を経て学位を取得しました。
通常の静的視野検査(ハンフリー検査)に比べ色視野検査は、視標が有彩色であること、視標の大きさが変化することの二つの点が異なり、測定される閾値が色ごとの視標のサイズ(MCDV:minimum color discrimination value)になります。
測定点は、ハンフリー視野検査プログラム10-2と同様の16点と乳頭黄斑繊維束(papillo-macular bundle: PMB)の6点で、使用する視標の色は、L、M錐体由来であるRedとS錐体由来であるBlue-Purpleの2色です。
正常眼の場合、Redでは視野の中心ほどMCDVが小さくなり(=よく見え)、周辺ほどMCDVが大きくなる(=悪くなる)傾向があり、Blue-PurpleではS錐体の網膜上での分布がL、M錐体とは異なり特殊であることから、統計的に有意差はあるものの、実際の測定値としては中心も周辺もほぼ変わらない数値となりました。
一方で、緑内障眼及びPPG眼では、Red、Blue-Purpleの各視標ともに、正常眼と比べMCDVはほぼ全ての領域で有意に大きくなる傾向があります。個々の症例、特にハンフリー視野計10-2で異常が認められない症例に限定すると、正常眼の平均値+2SDの範囲を超える症例も多くあったことから、色視野検査が感度の高い検査であることが示唆されました。
今後も、実用化を目指し、さらなる検討を進めていきます。