当グループは、緑内障研究の最前線で活躍しておられる全国の先生方のお力添えをいただきながら、MIGSの先駆けともいえるTrabectome®を推進してきました。緑内障治療の考え方が変わりつつある昨今、中核となる中京眼科(愛知県名古屋市)をはじめ、飯田市立病院(長野県飯田市)、佐藤裕也眼科医院(宮城県仙台市)で緑内障研究を進めています。
以前の緑内障治療は、保存的に点眼治療を行い、保存的治療だけでは進行を食い止めることが困難な場合に手術加療を実施していました。しかし、近年では低侵襲緑内障手術(MIGS)や選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)など、緑内障治療に対する考え方や手術適応は急速に変化しています。
当グループでは、MIGSの先駆けとも言えるTrabectome®をいち早く導入し、低侵襲の緑内障手術に取り組んできました。現在では、Trabectome®以外にもiStent inject®といった最新のMIGSも積極的に導入しています。
新しいデバイス、プリザーフロ マイクロシャント 緑内障ドレナージシステムを使用した緑内障手術を開始しました。太さ0.35mm、長さ8.5mm、内腔70μmのスチレン系樹脂のチューブを眼内に埋没させ房水を眼外に誘導するもので、術式としては濾過手術のカテゴリーとなります。同様の術式として金属ドレーンを用いるものがありましたが、マイクロシャントは手術の方法がかなり簡素化され、手術に費やす時間も従来の半分以下で済みます。また、手術翌日の眼圧も良好で極端な高眼圧や低眼圧も少なく、合併症も少なくなった印象を受けます。
2023年9月から12月までに佐藤裕也眼科医院(宮城県仙台市)において、術前眼圧11.0~44.8mmHgの7眼(平均23.0±13.3mmHg)に対しマイクロシャント手術を施行し、術翌日眼圧4.4~10.0mmHg(平均眼圧5.8±2.0mmHg)と安定した眼圧下降が得られた上に低眼圧による浅前房症例などの合併症を認めませんでした。
また、術1週間目で平均眼圧9.0±2.1mmHg、低眼圧による脈絡膜剥離の発生は見られず、術後2か月で平均眼圧12.9±1.6mmHg、濾過法形成不全症例はなく、濾過胞再建術を要した症例はありませんでした。