OPHTHALMOLOGY SPECIALIZED FIELDSOPHTHALMOLOGY SPECIALIZED FIELDS

OPHTHALMOLOGY SPECIALIZED
FIELDS
専門分野
眼形成・涙道

眼瞼下垂や内反症、霰粒腫などの炎症性疾患、眼瞼腫瘍、鼻涙管閉塞や涙嚢炎などの涙道疾患、眼の奥の眼窩疾患に対して診療を行い、小児の眼瞼下垂、内反症など先天性疾患にも対応しています。機能面、整容面の両面のバランスを考え、患者さんの要望に応えられる医療の提供を目指しています。

医師

DOCTORS

  • 星野 彰宏
    星野 彰宏
    ほしの眼科
  • 大沢 郁文
    大沢 郁文
    西可児眼科クリニック
  • 江坂 友里
    江坂 友里
    JCHO中京病院 眼科
  • 野口 魁斗
    野口 魁斗
    飯田市立病院 眼科
  • 田邉 吉彦
    顧問
    田邉 吉彦
    JCHO中京病院 眼科
    非常勤 医長

診療内容

CLINICAL SERVICES

目瞼下垂

後天性
眼瞼下垂のほとんどは加齢やコンタクトレンズが原因の腱膜性下垂で、まぶたを引っ張り上げる筋肉(挙筋腱膜)が緩むことによって起こります。ほかに、まぶたの皮膚のみが弛緩して余ることによって瞳を覆ってしまう眼瞼皮膚弛緩症や動眼神経麻痺や外傷による麻痺性下垂があります。原因や症状によって、適切な手術方法を提案しています。
  • 手術前 眼瞼が瞳孔を覆う
    手術前
    眼瞼が瞳孔を覆う
  • 手術後6カ月瞳孔がしっかり見えている
    手術後6カ月
    瞳孔がしっかり見えている
先天性
小児の眼瞼下垂は、まぶたが上がらないことにより視力の発達を妨げる可能性の有無で、手術の時期を判断しています。通常は、就学時前など自身の容姿が気になり始める頃を目安に検討しますが、1〜2歳の時期でも瞳孔が隠れ、全くモノを見ようとしない場合には、早期手術の適応と考えます。瞼を上げる筋力のほか、前頭筋の働きや眼球運動の程度から手術の方法を検討します。幼少時に手術を受けたが、成人になってからまた下がってきた場合では、加齢の要素も考慮し再手術の方法を検討しています。
眼瞼けいれん
まぶしさや眼の開けづらさを感じて医療機関を受診し、ドライアイ治療や眼瞼下垂の手術を受けたが症状が良くならない、といった場合に「眼瞼けいれん」であることがあります。多くの場合は原因不明で、中には抗不安剤や睡眠剤が原因のものもあり、何らかの理由で神経的にストレスがかかったときに、特に症状が現れることがあります。眼を閉じる筋肉(眼輪筋)の異常収縮が原因で眼を開けることが難しくなることもあります。治療として、ボトックス(A型ボツリヌス毒素製剤)注射を使用し、眼を閉じる筋力を麻痺させる方法があります。効果は3~4か月程度のため、繰り返し投与を行うことがあります。

内反症

後天性
眼瞼下垂と同様に、加齢によって眼瞼周囲の筋力や靭帯が低下することで生じます。症状の度合いによって手術方法を選択しています。
  • 手術前 睫毛が眼球に接触。点線部分の皮膚を切除。
    手術前
    睫毛が眼球に接触。青いラインの皮膚を切除。
  • 手術後6カ月 眼瞼の位置が矯正され睫毛の眼球への接触は無くなった。
    手術後6カ月
    眼瞼の位置が矯正され睫毛の眼球への接触は無くなった。
先天性
小児の内反症の原因は眼瞼皮膚の余剰であることが多く、1~2歳児は成長に伴い改善する場合もあります。しかし、それ以上の年齢になると自然に改善することは少なく、手術による矯正が必要になります。睫毛が眼球表面へ慢性的に接触することによって、角膜障害を起こすこともあり、視力への影響も考慮して手術時期を検討します。
  • 手術前 下眼瞼の睫毛が角膜に接している
    手術前
    下眼瞼の睫毛が角膜に接している
  • 手術後 眼瞼の位置が正常となり、睫毛の角膜への接触は無くなった。
    手術後6カ月
    眼瞼の位置が正常となり、睫毛の角膜への接触は無くなった。

皮膚腫瘍

良性腫瘍
眼瞼の皮膚は治癒力に富んでいるため、瞼にできる10㎜程度の母斑(ほくろ)や疣贅(いぼ)については切除したまま無縫合で終了します。悪性腫瘍である可能性を考慮し、病理検査を実施します。
悪性腫瘍
診察所見より悪性腫瘍を疑った場合、腫瘤の一部を切除して病理検査を実施します。病理検査をすることによって確定診断をつけ、腫瘍によって切除する範囲を検討し、切除量が大きくなる場合は皮膚移植や保存強膜を使用した再建術を施行します。

涙道疾患

涙道狭窄・閉塞
直径0.9mmという爪楊枝ほどの太さの涙道内視鏡を使用して通過に障害のある部位を特定し再開通させます。上手く開通したらシリコンチューブ(NSチューブ)を挿入し3か月程度留置します。通過障害が強く再開通が難しい場合には涙嚢炎の治療と同様に新たなバイパスを作成する涙嚢鼻腔吻合術を施行します。
涙道狭窄・閉塞
涙嚢炎
炎症の早期は抗生剤による加療で一旦は治まります。しかし、涙嚢と鼻涙管の間が詰まっていることが根本的な原因であるため、手術によって新たなバイパスを作る「鼻涙管吻合術」で根治を目指します。
涙嚢炎
TS-1の副作用
内服抗がん剤TS-1による副作用として角膜上皮障害、涙道狭窄・閉塞が報告されています。TS-1による涙道閉塞を一度起こすと、手術での改善はかなり困難になるため、閉塞を予防することが重要です。人工涙液による眼表面の洗浄と、TS-1の内服中は長期間NSチューブを留置することも検討します。

最新情報・
研究トピックス

TOPICS

学術活動

野口医師が、第10回日本眼形成再建外科学会の一般講演において、「腱膜性眼瞼下垂を合併したMarin-Amat症候群に対する手術治療の検討」のタイトルで発表しました。また、2022年に開催された第76回日本臨床眼科学会での講演が、「眼窩内壁骨折整復術直後に視力障害をきたした1例」のタイトルで論文として掲載されました。

診療体制

2023年7月より、星野医師が、ほしの眼科・佐藤裕也眼科医院・JCHO中京病院眼科に加え、中京眼科においても眼形成・涙道疾患の診療を開始しました。毎月第2・第4の木曜日の午前中に日帰り手術、午後に外来診療(完全予約制)を行っています。
また、2024年4月には、大沢医師が海外から帰国、江坂医師が育児休暇を終了し、それぞれ復帰する見込みです。
しばらくの間、眼形成は田邊医師を筆頭に、星野医師、野口医師の3名で診療にあたってきましたが、前述の通り2024年4月から2名の医師が復帰予定であり、それにより、当分野の一層の進展が期待でき、さらに多くの患者さんの診療につなげることができればと考えます。
しかしながら、JCHO中京病院眼科においては当分野以外にも様々な分野で多くの医師が対応し、外来枠や手術室、1日当たりの手術件数などに限りがあるため、患者さんをお待たせしてしまうこともあります。
そこで、新たに中京眼科においても眼形成・涙道疾患の診療を開始したことで、JCHO中京病院で受け付けていた患者さんを患者さんの状況によって両施設で分担することができ、少なからず患者さんがお待ちになる時間の短縮につながり、合わせて各ご施設の先生方にとっても、より気軽にご相談・ご紹介していただけるような施設になればと思います。
具体的には、
中京眼科では…局所麻酔下で施行できる日帰り手術の対象となる、眼瞼下垂、眼瞼内反症、眼瞼の良性腫瘍や涙道内視鏡手術等の症例の診療を行う
JCHO中京病院眼科では…全身麻酔が必要な小児の手術、涙嚢鼻腔吻合術や眼瞼の悪性腫瘍のように侵襲が大きく入院が必要なケース、眼窩腫瘍や全身疾患に関連するケースで画像診断や血液検査が必要な症例等の診療を行う
など、患者さんにとってもメリットになり得る方策を考えています。
また、2名の医師が復帰するとはいえ、仕事と家庭を両立することができる環境づくりも大事なポイントです。例えば、中京眼科では「完全予約制」の診療体制をとることから、患者さんのご希望に医師自身のペースも加え計画し、バランスのよい勤務が可能であると考えます。
患者さんにとっては診療の機会が増え、医師にとってはより経験を積むことがスキルアップややりがいにつながり、グループにとっては戦力が増すことで、「Win-Win-Win」の関係が築き上げられることと、期待しています。

▪️眼形成・涙道疾患に対応できる施設

JCHO中京病院眼科(名古屋市南区) 日帰り手術、入院手術、全身麻酔対応可
中京眼科(名古屋市熱田区) 日帰り手術
ほしの眼科(愛知県岡崎市) 日帰り手術
佐藤裕也眼科医院(宮城県仙台市) 日帰り手術、入院手術